PAST EXHIBITION
PAST EXHIBITION
2019.07.20. Sat – 08.04. Sun
12:00 – 19:00
日曜 月曜 休廊
最終日曜日8.4のみ開廊
2019.7.19.Fri
19:00 – 22:00
虫とりやおやつを食べたりして近所で過ごす夏休み。
あわただしい世の中に不穏な気配を感じつつ、終わりのない夏の自由研究に今日もぼくはいそがしい。
あたまの中に浮かぶのは土、砂、セメント、片栗粉、火山灰、星屑、スプレー、爆薬と花火、空気中を漂う粉じんと散り散りなイメージ。
研究テーマは不確で掴み所がないのだけれど、確かにそこにある景色の粒子を捕まえること。
コンビニ弁当に入ってるバランの陳腐な滑稽さに感動を見出す様に。
手始めに極身近なものをブリコラージュしてみる。身体はここにあっても出来るだけ遠くへ旅立つこと。
ヒラパー・ウィルソンの描き出す世界の住人たちは、本人の言葉を借りるならば、「すっとぼけた」表情でこちらの 様子を探るでもなく各々が自由に過ごしているように見えます。 描かれた花々や虫たちは優しげで親しみやすい雰囲気を持っており、そしてどこか私たちに似ています。 東京で生まれ育ったヒラパー・ウィルソンにとって、彼らは私たち人間と同様、圧倒的な人工物に囲まれた都会的 生活と、その環境を包み込んでいる雄大な自然サイクル、両者の一部として生 ( そして死を ) 営む存在なのです。 また同時に彼らの存在は、コンクリートやディスプレイ、インターネットで形作られた都会暮らしを謳歌する人間 が根元的に持ち合わせている、自然や植栽を求め憧憬する心理の象徴とも解釈でき、前者・後者の理解は共にヒラ パー・ウィルソンを惹きつけます。
自然と人は対立するものではなく、両者は内包しあい互いがその一部であるという観念は目新しくなく、古来より 日本人が持っていた ( もしくは西洋からの解釈に於いて理解された ) ものです。 その一方で、ヒラパー・ウィルソンのより個人的な経験を紐解くと、横田基地の側で育った彼は幼少期から多感な 時期にかけてアメリカのキャラクターそしてヒップホップと出会います。
幼かった彼は POGMAN というアメリカのメンコに登場するキャラクターに魅了されました。それらのキャラクター に比べると彼が描く線は極端にルースですが、作中で多くの動植物が擬人化されていることのルーツと言えるでしょ う。
また、言わずもがなサンプリングはヒップホップの歴史に於いて最初期に誕生した重要手法ですが、 ヒラパー・ウィルソンは本展で発表する新作群の一部に於いて、絵筆だけの表現でなく身の回りの形状をサンプリ ングする手法を用い製作を行っています。さらに学生時代に出会った神話体系や人類学、そしてブリコラージュと いう方法も彼に大きな影響を与えています。
自由に見えるだけで、概念や人知などを軽く超越した存在への憧れや羨望と、自身のパーソナルな経験や嗜好を逞 しく果敢に混ぜ合わせる。
太陽ピカーッ、頭フラーッ、夏本番。ヒラパー・ウィルソンの夏休み自由研究の結果を是非ご高覧ください。
Hiraparr Wilson / ヒラパー・ウィルソン
東京都出身。多摩美術大学芸術学部卒業。思い出野郎 A チーム、CATBOYS、やけのはら、BTB 特効など多く の音楽家のアートワークを手がける他、GAS AS INTERFACE が手がける T-shirts レーベル・T by GASBOOK や上海を拠点にするファッションブランド・SIRLOIN などへのイラスト提供などを行う。さらに、川村亘平 斎の影絵個展『MATA AIR』や、音楽家・藤田陽介と BOREDOMS・EY ヨの舞台『メモリーム| MEMOLEEM』を仕掛けるなど、ジャンルにとらわれずオルタナティブに活動を展開。2017 年に恵比寿・ OVER THE BORDER、2018 年にタイ・Speedy grandma gallery にて個展を開催するほか、国内外のグループ 展にも積極的に参加している。
https://www.instagram.com/hiraparr/
Price list : http://calmandpunk.com/exhibition/powder-catalog/
Photo : Yutaro Tagawa