PAST EXHIBITION

Jonathan Zawada 個展  On Burning Mirrors

会期

2022年2022年10/5(水)〜10/30(日)
※ 水曜〜日曜日開廊 

営業時間

13:00-19:00

ご来場に関して

*ご来場の際は、マスク着用、検温、消毒にご協力お願いします。

*会場の混雑状況により入場制限を設ける場合があります。列にお並びいただく場合があること、予めご了承ください。

*状況に応じて、会期・営業時間の変更する可能性があります。変更の際は、ギャラリーウェブサイトとInstagramにてお知らせ致します。

CALM & PUNK GALLERY では、2022年10/5(水)〜10/30(日)にて、Jonathan Zawadaによる個展 On Burning Mirrors (燃える鏡の上で) を開催します。2015年に、シドニーとロンドンで行われた前回の個展から、7年を経ての開催になります。

この8年間、Zawada は、シドニー・オペラ・ハウスに投影する3DCGプロジェクションマッピング作品の発表、キノコの交配とNFTを組み合わせた作品シリーズのリリース、The Avalanches、Flume、Röyksoppや Mark Pritchardら世界的な音楽家との活動、国内外9名の作家が参加した大型展示Phenomenon: RGB への参加、などパンデミック以前/以降に於いて精力的に活動していました。CALM & PUNK GALLERY は、2014年に個展 Touchingly Unfeeling (感動的無感覚) を開催した後、2019年にLaforet MuseumでPhenomenon: RGBを企画・キュレーションし、YOSHIROTTEN、河野未彩などと共に同展にZawadaを招聘しました。また同時に作品集書籍 GASBOOK 31 Jonathan Zawada も出版しています。

「グラフィックやイラストレーションを始める為に、コンピューターかエラブラシのどちらを買えばいいのか迷った」Zawadaは結局、14歳の時に貯金をして中古のコンピューターを手に入れ、16歳からコーディングを始めました。これはZawadaのキャリアや、デジタルとアナログを横断する作品群を知っていると妙に腑に落ちるエピソードです。実際にZawadaの初期作品は、デジタルな質感を持ったイラストレーション的表現が多く、そこから複眼的で構築的なコンセプト・メイクと絵画や自作コンピューターゲーム、インスタレーションが組み合わさった形式へと発展していきます。

初の個展 Semantic Webs ( 由来はW3Cのティム・バーナーズ・リー氏が1998年に提唱・推進したプロジェクトで、コンピュータが自律的にWebページの情報収集や処理、判断を行えるようにしようとするもの ) は、2005年に開催されています。それからの18年間を振り返ってみると、Zawadaは一貫して「自身がデジタル経験を通して得た感覚」を主題に巨大IT産業などへの批評性や美術史を交えながら作品を作り続けています。例えば、「大半をスクリーン前で過ごす自身の生活から着想を得て、google画像検索で発見したイメージのみで構成した静物画」を制作し、「現実に起きたことの数値を基に作れられたグラフ」や「タッチパネル式ディスプレイに残された指紋の跡」を絵画にしたり、「カスパー・ダーヴィド・フリードリヒ絵画に於ける視点とコンピューターゲームに於ける視点を超人的視点として捉える」インスタレーションや「デジタルデバイスを通して得る感覚を基に、ジェット機コックピットから操縦士が眺める景色を想起して」作られた展覧会などです。

On Burning Mirrors は、Zawada のキャリアの中で、ある意味、最もアナログかつ古めかしい手法で新作群が発表されます。しかし、それは逆説的に、Zawadaのアイデアの本質を強固に表現します。現代人にとっての自然環境と言えるほど強大になったデジタル・テクノロジーが、どのように使われて、それが人類の道徳や優しさ、また美という観念にどう影響を与えるのか?、と言ったZawadaにとっての大きなテーマが内包されています。

Zawadaの作品群は美的な驚きと共に、デジタル・テクノロジーと融合した現代社会に批評的かつ新しい視点を生み出しています。稀代の作家による待望の個展を、是非ご高覧頂ければ幸いです。

アーティストステートメント

On Burning Mirrors (燃える鏡の上で)

On Burning Mirrors展は2つのパートで構成されています:仮想の製品・経済システム・現実についてのコンセプトを紙に印刷したタイポグラフィック・ステートメントのシリーズと、機械学習の画像生成ツールが生成したものを主題にして描いたポートレートのシリーズです。

“On Burning Mirrors” というタイトルは、熱や光を焦点に向けて反射させる鏡「放物面鏡」について紀元前3世紀にディオクレスが書いた本からつけられています。放物面鏡は点火に使用することができます(この書名になっている理由です)。そして近年では、パラボラアンテナのように信号の集積にも使われています。数年前に都市部を離れて地方へ移り住んだことで、私のすべてのインターネットアクセスは通信衛星経由になり、パラボラアンテナは私の大切な友人になりました。

展示している作品群は、本質的には個人と集団社会を映し出すもので、私たちの中に存在するシステムが私たちをどのように変化・変形させているのかがテーマです。具体的には、形而下的側面が減少しつつある世界の中で私たちが自分たちをどのように見ているのかを示すことで、私たちの自己意識の方向を確認しようとしています。ポートレートは他の数多のポートレートの集合体で、機械学習のアルゴリズムを使用してひとつの顔に抽出したものです。これらのツールは、数分でテキスト記述から画像を生成します。展示しているポートレート群は「動物のパーツを備えているカラフルな中世の農民のリアルな彫刻のポートレート / portrait of a realistic sculpture of a colorful medieval peasant with animal parts」というテキストから生成された様々な画像を元に描かれています。使用した画像生成ツールは一般公開されているものです。膨大な画像データセットでトレーニングされており、また定期的に改良されているため、現在はほぼ “予想通り” で欠点のない画像を生成できるまでになっています。しかし、これらのツールの進化の黎明期には、結果がかなり不安定だった期間が数年間存在しました。今回のポートレート群は、アルゴリズムが “好ましい” 美的結果を洗練する前に存在した、そのわずかな期間に生成されたものです。その期間は非常に興味深いものでした。生成される画像が意外かつ独特で予測ができず、人間以外のものから見た人間とは何かというユニークな視点を備えていました。

タイポグラフィの作品群は、人間や社会生活における目に見えない様々な部分を抽出して個人に照らし返す仮想の製品とコンセプトです。この20年間で、インターネットは個人をアブストラクトなデータ点へと希釈し、ターゲティング広告のために様々なバケットへ振り分けてきましたが、私たちがデータ点の視点から自分たちを眺められることはほとんどありません。この20年間、私はことあるごとにこのようなアイディアを集めてきました。ブロックチェーンやソーシャルメディアのような新しいテクノロジーに出会ったり、これらのテクノロジーをわずかに異なるベースパラメータで進化させたらどうなるのかについて考えたりすることがきっかけになるときもありましたが、元々は、“ビッグデータ” というコンセプトが、私たちが個人としてその面裏両面にアクセスできないがゆえに、私たちを操ろうとしているようにしか思えないことについて考えたのがきっかけでした。ですが、もしデータが私たちを見ているのと同じように私たちがデータを見ることができたなら、それらはユニークかつパーソナルなレベルで私たちにとって開示的かつ有益なものになる可能性があります。本質的には、それらは私たちがいる現実からほんのわずかだけ異なるもうひとつの現実の個々のヴィジョンなのです。AIによって生成されたポートレートと同じように、それらは一見すればすぐに判別できるものです。それぞれの差異は僅かに思えますが、その微細な不規則性は、それらが映し出す世界における深く根源的な変化を浮かび上がらせます。

私は、私たちは自分で思っている(または、多くのテクノロジーが、私たちがそれらの表側に立っていると私たちに思わせようとしている)よりも個人ではなくなっており、それらの裏側から見れば、数多のインプットの集合体にかなり近い存在になっているのではないかと考えています。

Jonathan Zawada

ジョナサン・ザワダ(1981年オーストラリア生まれ)

ジョナサン・ザワダは、アートとデザイン世界のアナログとデジタルの両技法を織り込む多面的なアプローチで知られるアーティストである。彼は創作活動でしばしば、つかの間ではかないバーチャル体験から、有形の芸術作品を創造することを探求する。

人工的な物と自然な物の交わりや混合を中心とする彼の世界は、超写実的であり精巧で複雑にきめ細かく表現され、それでいて大胆でダイナミックなものとして成り立っている。

ザワダの活動は、初期のルーツであるウェブデザインやプログラミング、そしてさらなる進化の成果である商業グラフィックデザイン、イラストレーション、さらにはアートディレクションの各分野の知識を活かし、現在ではオブジェクトや家具のデザイン、彫刻、動画、美術展示そして絵画などにまで至る。

彼の手がけたアルバムのアートワークは2つのオーストラリアレコード産業賞(ARIAS)他、数々のグラフィックデザインの賞を獲得。ロサンゼルス、パリ、東京、ロンドン、シドニー、北京など世界中のコンテンポラリーギャラリーで油絵の個展や作品展示会を開催する。また、Vivid 2018にて、シドニーオペラハウスのライティング・オブ・ザ・セイルズのディレクターに任命され、「Metamathemagical(超数学魔術的)」と題された15分間のプロジェクションマッピングを上演した。

ザワダの仕事は、商業的、また非商業的なものにも及び、商業分野とファインアート分野共にしっかり根をおろしていると言えよう。自分の活動について聞かれると、「最近は単純に、自分はものを作るのが好きなのだ、という考えに落ち着いているよ」と彼は言及する。

「初めてジョナサンの作品を知った時、多様性に富みながらも変わらぬ声を放ち続けている事に感動したよ。それに、溢れる活気と大胆さも気に入ってる。でもなにより、彼の創り出す物はまるで彼そのものの様で、そこに彼の人格や人生観を垣間見れるんだ。」
― Mark Pritchard

Instagram
https://www.instagram.com/zawhatthe/

CV

Solo Exhibition
2005:
Semantic Webs at Monster Children Gallery, Sydney, Australia

2008:
Boolean Values at Monster Children Gallery, Sydney, Australia

2011:
Over Time at Prism Gallery, Los Angeles, USA
Free Dumb at Vallery, Barcelona, Spain

2012:
Free Roam Above the Mist at Prism Gallery, Los Angeles, USA
Kindred Spirits at Colette, Paris, France

2013:
Casual Hardcore at Prism Gallery, Los Angeles, USA
PWND at The Popular Workshop gallery in San Francisco, USA

2014:
Real 3D at Sarah Cottier Gallery, Sydney, Australia
Touchingly Unfeeling at Calm & Punk Gallery, Tokyo, Japan

2015:
A Particular Turbulant Wave at BEERS, London, UK
My Sentiments Exactly at Sarah Cottier Gallery, Sydney, Australia

Group and 2-person Exhibitions
2008:
New Moon at Sarah Cottier Gallery, Sydney, Australia
Alphabet at Monster Children Gallery, Sydney, Australia

2009:
Glory Holes at Monster Children Gallery, Sydney, Australia
Batteries Not Included at ACP, Sydney, Australia
Record Time at Palmer Projects, Sydney, Australia
Roku at Monster Children Gallery, Sydney, Australia

2010:
Disorder Disorder at Penrith Regional Gallery, Sydney, Australia
It Was On Earth That I Knew Joy at Scion, Los Angeles, USA
Some Type of Wonderful at China Heights, Sydney, Australia
Semiotics at Nine Lives Gallery, Brisbane, Australia

2011:
O at Sarah Cottier Gallery, Sydney, Australia
Sunset Etc. at Prism Gallery, Los Angeles, USA
Posters of Fortune at Type Directors Club, New York, USA

2012:
Then x Ten, The Power of the Poster, A Herman Miller Exhibition at Fortyfive Downstairs,
Melbourne , Australia

2014:
100% Potential with Ben Barretto at Ben Barretto’s Studio, Los Angeles, USA

2016:
Skin with Flume at Special Group Studios, Sydney, Australia.
Skin with Flume at Space15Twenty, Los Angeles, USA.
Under The Sun with Mark Pritchard at Red Bull Music Studios, New York, USA.

2018:
Chroma at Sarah Cottier Gallery, Sydney, Australia
Open House at Furth & Yashar, Los Angeles, USA

2019:
Phenomenon: RGB at Leforet Museum, Tokyo, Japan

Event
2015:
Goldfish in collaboration with Kim Laughton at the Tomorrow’s Party art and music festival, Beijing, China

2018:
Metamathemagical, a 15-minutes projection mapping piece for Sydney Opera House, at Vivid, Sydney, Australia