PAST EXHIBITION
PAST EXHIBITION
5月19日(土)〜6月3日(日)
12:00 – 19:00
5月27日(日)、毎週月曜日
※5月20日(日)、6月3日(日)は通常営業です。
5月18日(金)
19:00~22:00
5/19(土)より作家・水野健一郎による3年ぶりの個展「MICROFICTION 2018」を開催致します。 水野は、既視感と未視感の狭間に存在する超時空感を求めて、自身の原風景の形成に多大な影響を与えたテレビアニメ の世界観を脳内で再構築し、多種多様な手法 – ドローイング、ペインティング、グラフィック、アニメーションなど – で アウトプットを行ってきました。それら作品たちは作家が影響を受けたテレビアニメのようにストーリー性を持ちながらも、 断片的に描かれる情景は常に「違和感」を引き起こします。 本展では、作家が自身の作品制作に改めて意識を向けながら、その先に生まれる作家独自の感覚 – 超時空感 を 形にした新作キャンバス作品を10点以上を発表します。またドローイング100点程が会場に並び、それら作品1点1点の断片を繋ぐ設定資料集も会場にて販売します。無数のドローイングをもとにした作品制作過程から着色された 新作まで、様々な視点から作家が超時空感を手に入れる瞬間をご覧ください。
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既視感と未視感の狭間には懐かしさも新しさも超越した感覚が存在していて、それを私は超時空感と呼んでます。その感覚を誘発するために、私はテレビアニメに夢中だった子供の頃の非芸術的意識を使います。例えば、実際にアニメ番組を制作するかのようにプロットから設定資料集まで作成し、「これはアートではない」と自分の脳を騙すのです。場合によっては動画も作ります。しかし完全に騙すことは不可能であり、何らかのエラーが起こります。超時空感はその瞬間に発生します。それをキャッチし、絵画の形でアウトプットできたらひとまず成功です。
− 水野健一郎
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水野健一郎の作品は常に、日本のアニメ黄金期であった70年代後半から80年代にかけての、もはや過去の産物となりつつ ある手書きアニメから着想し造作されている。
アートに疎い者にはいわゆるオタク的な印象を与えかねないが、実はそれを遥かに超越した次元のものと言えるだろう。
彼の高い技術はもちろんのこと、単純にオタクカルチャーとして括るには多面的で多層構造すぎるものである。 それはレトロフューチャーとでも言うべき、ノスタルジック且つ近未来的な世界観だ。
描かれるシーンや主人公には物語性が存在する。しかしこのナラティブは断片的で途切れ途切れなものであり、彼の 夢見心地なシュルレアリズム寄りの雰囲気はこれらに起因していると思われる。
彼はアニメの物質性やプロダクション観点、ビジュアルツール、創作の流れ、手書きの注釈やフレーム番号、さらには 穴の空いたアニメーションカメラ用の特殊紙、絵画技法など様々な要素や感情やらを掬い上げていっている。それは 鉛筆書きの細部までに渡る。(インクではなく鉛筆書き部分がアセテートのセル画に印刷された裏面に色付けが行われている。)
服と身体が一体化した不思議な顔ぶれが淡々と存在する絵。 意識ある生き物達の会話中、行動中、変形中の切り取られた瞬間。
水野は しばしば景色が被写体に溶け込んだように描き、背景そのものが主体として表現している。 アニメのように輪郭を強調した描き方も特徴的だ。
これらのビジュアルツールで、水野は個体性と自然の天理が混在する実験的世界を創り上げている。まるで意識と物質性が渦巻くフィボナッチ数列かのように。
なによりも特筆すべきは、作られる必要のなかった映画の一コマのような瞬間を捉えたこれら一枚一枚の静止画を千も並べれば、一つの動画になる(またはなり得る)。それは「聖なるセル画」の域に達するものだ。
これぞ正真正銘、コミック・アブストラクションと断言できよう。
– Russell Maurice / GASIUS (訳:Daniel González)
水野健一郎(Kenichiro Mizuno)
1967年生まれ。岐阜県出身。東京都在住。鳥取大学工学部社会開発システム工学科中退。セツ・モードセ ミナー卒業。既視感と未視感の狭間に存在する超時空感を求めて、自身の原風景の形成に大きな影響を与えたテレビアニメの世界観を脳内で再構築し、ドローイング、ペインティング、グラフィック、アニメーションなど、多様な手法でアウトプット。映像チーム「超常現象」、美術ユニット「最高記念室」としても活動。美学校「絵と美と画と術」講師、 東北芸術工科大学映像学科非常勤講師、女子美術大学非常勤講師。
マイファイ(仮) http://kenichiromizuno.blogspot.jp/