Interview with Esther Kim

2015年9月4日〜27日の期間、西麻布・CALM&PUNK GALLERYにて、イラストレーター・Esther Kimの個展「I’m pink and blue for you」が開催された。現在はLA拠点だが10代の頃に日本で暮らしたこともあり、彼女にとって今回の日本での個展は特別な想いがあったように感じた。彼女のポートレイトでもある「エスターバニー」は、一見可愛く見えるが実は様々な表情を持ち、時には冷静さも見せる。エスターバニーと並び展示された女の子のポートレイトもなぜか大人びた印象を受けた。連日彼女のファンで大盛況だった展示、作品について話を聞いた。

イラストレーションとイラスレーターにいつ頃興味を持ちましたか?

小さい頃から絵を描くことが好きでした。おばあちゃんが、私にお絵かき用の白い紙を持ってきてくれていたんです。小学校の時に自分のアートに対して意識を持ち始めたんだけど、その時はまだ得意なことなのかイマイチわからなくて。それで日本に引っ越した小学生6年生の時、周りの友達が絵を描くことにとても洗練していて、長けていることに気がつきました。同時に、自分には絵の才能がないって思ってしまったんです。その後学生の頃に、またイラストを描いてみたくなりました。絵を描くことでもっと自分自身をめいいっぱい表現したいと思い、そこからもう一度絵を描き始めましたね。

エスターのイラストはファッションと親和性が高くて、自分自身もファッションを楽しんでますよね。ファッションを好きになったきっかけを教えてください。

12歳の時に空港で買った人生で初めてのファッション雑誌ですかね。ずっとファッション誌が本当に好きで、実際に昔雑誌社で働きたいとも思っていました。私にとってファッションは、意見や興味、生い立ち、社会で何が起こっているのかを表現する方法です。そういうことを伝えているファッションのストーリーも好きです。自分自身に合うこと、何か表現することを見つけるゲームのようなものでもあります。

好きなファッションブランドを教えてください。

最近だと、Marques Almeida、Asley WilliamsとJiwinaiaがすごくお気に入りです。

今回の展示では、女の子のポートレイトとエスターバニーのイラストを並べていましたよね。あなたと一緒に年を重ねるように絵にも少し変化を感じたんですが、どうですか?

ある意味、私はアーティストとして孤立しています。アートスクールにも行かなかったし、LAに住んでいて、他のイラストレーターとかファッション好きな人々とも知り合いじゃない。不思議なことに、自分が行いたい多くのことに対して押し進めないといけないなんて知らなかったように思えます。今回の展示は、よりパーソナルで何か変化を付けていくための小さなステップでもありました。

私の作品は可愛いんだけど、それらが何かとミックスすることに興味があります。たぶん、90%クールで、10% 可愛い要素くらいで丁度良いんです。もし全ての割合が可愛いに寄ってしまうと、つまらなくなってしまいます。なのでより面白く、本当の私自身を表現できる知覚の変化に試みています。

ステートメントで、「エスターバニーは自分のポートレイトでもある」とおっしゃってましたよね。バニーはまるで生きているように喜怒哀楽を持っている中で、展示作品では悲しい表情が多かったようにも感じます。バニーのイラストについて教えて下さい。

クリエイティブな人々は、少しメランコリーな側面も持っていると思うんです。もともと私はただの幸せ者だと思ってたんだけど、心理テストを受けた時にメランコリーな性格だってわかって驚きました。でも、いつも一緒にいる友達には「え、それが普通でしょ。」って言われて。クリエイティブな人々はとてもセンシティブですよね。だから、バニーは単純に私の一番ピュアな気持ちを表しています。とてもおもしろかったり、疲れてたり、ハッピーだったり、携帯をただ見つめていたり。

また、私のシャイな側面もバニーを通して見えるはずです。社交的ではあるんだけど、同時にとても静かな性格も持つところをバニーの姿に投影してます。エスターバニーは、いつも横とか斜めを見ていて、口はほとんど開いてなかったり、動いてもないですよね。いつも現状を見つめ、覗き見しています。感覚として私のアイデンティティの大部分は、外部者や外国人のように少し異なる感覚を持っていて、現状を見つめているだけなんです。様々な切り口からシチュエーションを想像できるので、たまに強い意見を持ちにくい時があります。なので、考えを練るのにすごく時間がかかります。たぶんバニーは無意識的にそういう私も捉えていると思います。

3ヵ国の価値観が入り混じる自分の成長過程を今回の女の子のポートレイトで表現してましたね。友達を想像して描きましたか?または,架空のモデルですか?

架空の女の子を描きました。フィクションでありながらも理想的な女の子でもあります。ファッションへの愛情やいつも雑誌の美しいモデルを見ていることが関係してると思います。

ミックスした自分自身の価値に対してコンプレックス、ジレンマを覚えたことはありますか?

いやというほどに思い知らされてきました。そこから抜け出すことは出来ないんです。いつも一緒にいる友達や人々は、私と全然違う信念体系をもっています。かと言って私と同じ考えを持っている人々とは、気楽に一緒に居られないんです。アメリカのコミュニケーション方法は、日本とか韓国の友達とのコミュニケーション方法と違います。私自身、様々な方法で状況に対してリアクションできますが、人々が予想していたような方法では殆ど反応してないようなんです。でもどのカルチャーの中にいるかなんて構わないはずだと、私の核となる意見を持つ良いアドバイスを言われたことも覚えてます。とはいえ、いまだに疲れるし、普通に1つの中でおさまりたいなと思うこともありますね。

よく日本に来ていますが、ティーンエイジャーの頃の日本と同じ所と違う所って何か感じますか?

ティーンエイジャーの頃は、日本のクリエイターに恐縮していて、彼らと全く離れているような気分でした。なので、10代を過ごした日本でクリエイターとして今仕事をしていることは、本当に信じられなくて嬉しいです。カルチャーを大事にしている文化を持つ日本に感謝しています。

どのような仕事をこれからしたいですか?

もっとエスターバニーのアクサセリーとファッションアイテムを作りたいですね。あと、ギャラリーでの展示もまた開催したいです。

今後のプロジェクトを教えてください。

面白いプロジェクトに向けて動いていて、パーソナルプロジェクトも同時進行で動いているところです。

Interview & Text by Yukiko Oyama