PAST EXHIBITION

ヨシ・ソデオカ 個展『1.618?』

会期

2023年12月1日(金) ~ 12月17日(日)
※ 毎週水曜〜土曜日、最終日曜日 開廊

営業時間

13:00-19:00

CALM & PUNK GALLERYでは、この度、ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、ヨシ・ソデオカ
(袖岡由英)による日本初個展『1.618?』を開催いたします。

ソデオカは90年代から映像を中心に、GIFや印刷物といった様々なメディアで先駆的な存在としてビジュアルアートを追求してきました。ネオ・サイケデリックな作風はデジタル・ビデオ・フィードバックや映像サンプリングなどの先進的な方法を駆使して、視覚芸術の新たな地平を常に切り開いています。

その活動は、METALLICA(メタリカ)やTame Impala(テーム・インパラ)、Oneohtrix Point Never(ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー)、Max Cooper(マックス・クーパー)などの海外の著名なミュージシャンなどとビデオのコラボレーションやAppleやSamsungとの広告プロジェクト、それに加えてNew York Timesへのイラスト寄稿を長年依頼されるなど複数の領域でクリエイティブを展開してきました。

本展では、AI画像生成や粒子物理シミュレータなど最先端の技術を駆使した、黄金比率、気象パターン、昆虫の行動、鳥群の優雅なダンスなどをモチーフに表現した短編ビデオアニメーションが展示されます。シミュレートされたものと本物の間の境界を曖昧になり、現実の理解を形作る数学的な探究を、どうぞ会場にてご高覧ください。

関連イベントとして、2023年12月9日(土) にはソデオカの過去作品を上映するスクリーニングイベント、トークイベントを開催予定です。また、日本初個展を記念して、デジタルアートフレームを販売するInfinite Objectsの協力のもと作品展示に併せて、ヨシ・ソデオカとCALM & PUNK GALLERYの限定エディション作品を販売予定しております。

作家プロフィール

横浜出身
1989年、アートへの情熱を追求するためニューヨークへ移住。
プラット・インスティテュートに入学以来、ニューヨークを本拠地として活動。

ビデオ、GIF、印刷物など、様々なメディアやプラットフォームを革新的に探求することで知られる著名なアーティスト。音楽への深い情熱を持つ彼のネオ・サイケデリックな作風は、音楽への愛情とバックグラウンドをそのまま反映したものである。ノイズ、パンク、メタルといったジャンルからインスピレーションを得て、複雑で心を揺さぶるビジュアルを網羅する独自の芸術的ヴィジョンを確立している。

ソデオカの作品は世界的な評価を得ており、ポンピドゥー・センター、テート・ブリテン、ニューヨーク近代美術館、クリーブランド美術館、ダイチ・プロジェクツ、ラ・ゲテ・リリック、映像博物館、ボルチモア美術館、ラフォーレミュージアム原宿などでの展示。ホイットニー美術館、映像博物館、サンフランシスコ近代美術館などの著名な美術館での永久収蔵品にも名を連ねている。

展覧会会期中に特別上映イベントを開催します。

Yoshi Sodeoka’s Directed Music Videos (2011-2023)
Special Screening Event

ヨシ•ソデオカの監督のミュージックビデオ (2011-2023)
特別上映イベント

12/9/2023 (Sat・土) — 15:00-16:00

Free Entry/入場料無料
※予約不要、途中入退出可能です。
※開催中、展示作品はご覧いただけます(一部プロジェクター上映の作品のみ特別プログラムとなります)

TORIMIMASATAKA〈VOQUOXY〉 | 2017 | 5:18
MYMK〈Drag〉 | 2015 | 2:02
MYMK〈Moontalk〉| 2019 | 1:36
Tame Impala〈Elephant〉 | 2012 | 3:32
Mark Stoermer〈39 Steps (Shannoncut Remix)〉 | 2017 | 4:58
Oliver Coates〈Norrin Radd Dreaming (feat. Malibu)〉 | 2018 | 5:28
e*rock〈The Palace of Light (Revisited)〉 | 2011 | 2:50
My Panda Shall Fly〈Rainfall〉 | 2014 | 4:03
Max Cooper〈Spike〉 | 2020 | 5:04
Metallica | 2023 | 7:15*
*with Tim Saccenti

Total: 42:10

協力:新千歳空港国際アニメーション映画祭

こちらからYoshi Sodeoka’s Directed Music Videos (2011-2023 excerpt)
スクリーニングイベントで上映した作品の一部をYoutubeのプレイリストでご覧いただけます。

『1.618?』に寄せて

「1.618?」は、ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、ヨシ・ソデオカ(袖岡由英)による物語性を孕んだ映像と音響で構成される作品です。
CALM & PUNK GALLERYが開催される本展は、ソデオカの日本初個展であり、シミュレーション仮説と関係を有する、彼の示唆に富んだアイディアは美術と科学、テクノロジーへの探求と誘います。ソデオカ自身は、それらの概念に惹かれながらも、特定の理論を提唱したり、確固たる所信を表明することはありません。むしろ彼の作品は断定的な宣言というよりも、私たちに批評的な鑑賞のためのプラットフォームを提供しているのです。

シミュレーション仮説は、この現実が、私たちの理解を超えた存在によって生み出された模造品である仮説を示唆するものです。ソデオカは作品を通して、シミュレーションと真正性(しんせいせい)の間のグレーゾーンの問いに取り組んでいます。本展のために制作された作品は、Infinite Objects、スクリーン、プロジェクターなど、さまざまなデジタル機器を用いて展示され、長年、信じられてきたシュミレーション理論に対峙しながら、存在のための根源的な原理の問い直しを図っているのです。

ソデオカは、The New York TimesやMIT Technology Reviewなどの出版物に寄稿するなど、優れた実績を積み上げてきました。また、METALLICA(メタリカ)やMax Cooper(マックス・クーパー)といったミュージシャンともコラボレーションを行いながら、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)に関しても早い段階で採用をしていました。このような確立されている経歴の中で、「1.618?」は彼のキャリアにおける重要なマイルストーンとして際立っており、シミュレーション仮説とその哲学の探求に重きを置いた初の個展です。 本展では、「黄金比」の概念の妥当性に疑問を呈し、人々がしばしば対数螺旋を誤って適用することの露呈が散見されます。

「1.618?」の核となる数学は、多様な視点を調和させる統一言語であり、彼の数学的な探求は「パレイドリア」と関連しています。パレイドリアとは、例えば雲や電気プラグの中に顔を認識するなど、ランダムな刺激やあいまいな刺激の中に意味のあるパターンやつながりを知覚する人間の傾向を指します。ソデオカの作品は、こうした人間のもつ認識に気づきを与えるだけではなく、鑑賞者に自身の視点を再考するよう促します。特に宗教的信念の文脈において、現実世界にパターン(規則性)や意味を求める人間の傾向を掘り下げることによって、私たちの認知的過程とその本質について、より深い探求へと進めるのです。

本展では、シ・エミュレーション、黄金比、気象パターン的な振付、クモや蛾の大群のような昆虫の行動、ムクドリのざわめきなどを通じて観客を導きます。作品は、デジタルとフィジカルを包含し、アートとテクノロジーの融和を讃えるものであり、「1.618?」は、定説を検証し、私たちの現実へのアプローチを形成する影響について内省を促します。

あなたがギャラリーの会場を出るとき、ここで提起された疑問があなたの頭の中に残るようにしてください。作品は、あなたの世界認識をどのように変容させたでしょうか?シミュレーションと真正性は、私たちの人生にとってどのような意味を持つのでしょうか?この先どのような未知の発見が、現実の辺境に待っているのでしょうか?

これらの質問への応答を、私たちの存在を定義する複雑な事象を、探求し続けてみませんか。
そして、人間として「1.618?」が示した興味深い可能性について一緒に考えてみてはどうでしょうか。

テキスト: ベノア・パロ
和訳ver.2023年11月18日

インタビュー掲載

IO Artist Interviews: Yoshi Sodeoka (2024/4/25掲載)
https://medium.com/infiniteobjects/io-artist-interviews-yoshi-sodeoka-7a87f81271fd