PAST EXHIBITION

藤倉麻子 個展 'Paradise for Free'

会期

2021.3.19(金) ~ 4.6(火)
※ 日、月、火 休廊
※ 最終日曜日のみ開廊
※ 2日間会期延長致します。

営業時間

13:00 – 19:00

CALM & PUNK GALLERY では、3/19(金)〜4/6(火)にてアーティスト・藤倉麻子による個展「Paradise for Free」を開催いたします。

これまで藤倉は、都市空間に存在するさまざまな工業製品や巨大な人工物を本来の記号から切り離し、対峙することで、3DCGアニメーションによる新たな景色のありかたを描きつづけてきました。それら工業地帯に囲まれた幼少期の原風景をもとに、藤倉独自のふさわしい都市の機能――極彩色、つるつるとしたテクスチャ、ひと気のない乾燥地帯、なだらかな動き、聴き覚えのある環境音など――を融合した景色。一見ディストピアのようにも見えるその景色は、ある特定の場所と視点から感じられる心地よい世界として映し出されてきました。

本展では、藤倉の第二の原風景である「楽園」が、制作活動初期から構想していた3DCGアニメーションを越え、実在の空間へとゆらゆらと形をあらわし始めます。
藤倉の「楽園」への好奇心は、大学時代に専攻していたペルシア語を通して知ったペルシア式庭園の存在からはじまり、最近では日本庭園まで広がります。藤倉の描く「楽園」に置かれる自然物を模したもの――水の流れに見立てた竹、日の出――、それらを装飾する窓や段差を通して人びとは、ゆらぐ空間のはざまへと引き込まれていくのです。
また、自然物を模したものにおいても、もとあった場所から移築されたかのように個々のさまざまなバックグラウンドや時間を漂わせながら、ある種サイト・スペシフィックな存在として新たな魂を宿します。

そのようなあらゆる存在や時間軸を持つものたちと藤倉は向き合い、まるで庭師のように新しい景色のありかへ、そしてわたしたちを飛躍の世界へと誘います。会場では、水路に見立てた無数の竹が空間に流れ、3DCG映像作品に呼応する立体作品、景色を映し出した平面作品などを発表いたします。

藤倉麻子個展「Paradise for Free」によせて

遍在するアネクメネ

藤倉麻子がつくり出すオブジェクトは、シミュレーションと荒ぶる魂のあいだを行き来する。2次元平面の中にある3次元の立体物は、コンピュータの演算によって変換しうる限りにおいて、出現と消失を繰り返す。3DCGとしてアニメイトされた(アニマを与えられた)「もの」たちのうごめきは、仮想のカメラワークによって倍加し、都市とアミューズメントパークに発生する労働と遊びの原理に基づき、仮想空間を埋めつくしていくのである。そこは、既知であっても非在の世界に似ている。しかし、どこかで見たことのある景色が、見たことのない景色へと変わっていくということでは決してない。Paradise for Free――それは、すぐそこにある実在の空間と非在の空間の境界を行き来する場所。ならば、2つの空間のあいだにある引力と斥力から生じるその領域を、人は歩くことができるのだろうか。茫漠とした砂漠の蜃気楼に浮かび上がるオアシスのように、藤倉は遍在する実在と非在の場所を巡る路のつながりを、ほどきながら、何度も結びなおすのである。

中尾拓哉(美術評論家)

プロフィール

藤倉麻子
東京外国語大学南・西アジア課程ペルシア語専攻卒業。東京藝術大学大学院映像研究科メディア 映像専攻修了。
現代都市における時間と土地の連続から解放され得る景色を蓄積する。3DCG により生成したイ メージや、空間表現などを中心に制作を行う。
主な個展に、「群生地放送」(NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]、2018)、グルー プ展に「FLUSH- 水に流せば -」(EKARYOTE、東京、2021)、「多層世界の中のもうひとつのミュー ジアムハイパー ICC へようこそ」(NTT インターコミュニケーション・センター [ICC] 、東京、 2021)、土字旁・人字邊 Close to Nature, Next to Humanity, 臺東美術館 、台東、台湾、2020)な どがある。「LUMINE meets ART AWARD 2019-2020」グランプリ受賞。「第 22 回 文化庁メディア 芸術祭」アート部門、審査委員会推薦作品選出。

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