UPCOMING EXHIBITION
UPCOMING EXHIBITION
2025年7月23日(水)− 8月3日(日) 13:00–19:00
水曜日 ~ 土曜日、最終日曜日
入場無料 / 上記時間外アポイントメント制にてオープン可
CALM & PUNK GALLERYでは、2025年7月23日(水)から8月3日(日)まで、power/pointによる展覧会「Biennial No Plan」を開催いたします。power/pointは展覧会という形式からグラフィックデザインのありようを検討する集団であり、竹久直樹・中村陽道・八木幣二郎の3名によって構成されます。本展はpower/pointの新しいプロジェクト「Biennial No Plan(読み:ビエンナーレ ノープラン、略称:BNP)」の第一弾企画であり、2021年に開催した展覧会「power/point」において扱ったコンセプトの「実践編」としての位置付けを有しています。
BNPは、新しいグラフィックデザイン・ビエンナーレを構想する試みです。その初回となる本展では、今後開催予定のビエンナーレにおけるVI(ビジュアル・アイデンティティ)設計や、その展開物として制作された広報物や什器、ノベルティ、そしてリサーチ資料などが展示されます。加えて、構想をまとめた計画書の冊子や、ビエンナーレに関連するTシャツやトートバッグなどのグッズの販売も行います。また、会期中にはグラフィックデザイナー岡﨑真理子氏をはじめとする各分野の専門家を招いた公開勉強会も実施予定です。
また会期初日の7月23日(水)のオープニング・レセプション中、18:30 – 19:30には、トークセッションと質疑応答を含むプレスカンファレンスを行います。ぜひご参加ください。
Biennial No Plan
会期:2025年7月23日(水)− 8月3日(日) 13:00–19:00
開廊:水曜日〜土曜日、および最終日曜日
会場:CALM & PUNK GALLERY(〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-15)
オープニングレセプション
日時:2025年7月23日(水)17:00–20:00
会場:CALM & PUNK GALLERY
ステートメント
power/pointは、新しいグラフィックデザイン・ビエンナーレのありようを構想するプロジェクト「Biennial No Plan(読み: ビエンナーレ ノープラン、略称: BNP)」を始動する。その第一弾企画となるのが、2025年7月23日から8月3日までCALM & PUNK GALLERYにおいて開催される展覧会「Biennial No Plan」である。会場には、ビエンナーレの広報物や什器、サイン計画、ノベルティ、リサーチ資料などが展示される。また、会期中には各方面の専門家を招いて勉強会を開催し、「本当に使えるか」「何が足りないか」といった観点から検討を行う予定だ。
とにかく、まずは実際に使用するものを構想し制作するところから始めてみようと思う。
「グラフィックデザイン・ビエンナーレ」という枠組みは、1960年代、東西冷戦による資本主義諸国/社会主義諸国の分断を背景としてチェコ・ブルノからはじまり、世界各地に広がっていった。こうしたビエンナーレの多くは、ポスターをはじめとするグラフィック作品の公募コンペティションを中心に構成されており、当時のデザイナーたちにとって国際的な発表・交流の場となっていた同時に、自発的に制作を行い、国際的な評価を目指して挑戦するための貴重な機会でもあった。
しかし現在、そのような情報発信/交換の舞台としての役割––もしくは「いま他の文化圏では何が流行っているのか」を知る機会––はSNSをはじめとしたインターネット上のプラットフォームに取って代わられてしまったように見える。デザイナーの自主制作にかんしても無数の機会があるし、「グラフィックデザイン」というもの自体も、いったい何を名指すのかわからないほどに変容し、細分化された状況にある。実際、現在もいくつかのビエンナーレは開催が継続されているが、いずれも当時ほどのプレゼンスを保持しているとは言いがたい。象徴的なのは、先述したブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレの開催中止(2018年の第28回を最後に開催中止)だろう。
このような状況を前にして、グラフィックデザイン・ビエンナーレは過去の文化的装置であり、今となっては不要…と断ずることは容易だ。しかし、かつてコミュニケーションの不自由を劇的に解消する理想的なツールとして現れたインターネットは、今、むしろよりいっそう深い断絶や不自由をもたらす主因となっている。そうしたとき、わざわざ実地を一定期間占有し、数多の国や地域からデザイナーを招聘して開催される「グラフィックデザイン・ビエンナーレ」という形式を、あらためて肯定的に捉え直すことは可能ではないだろうか?
形骸化したグラフィックデザイン・ビエンナーレ。BNPは、その修復を目的としたプロジェクトである。
もし、現在の東京において新たなグラフィックデザイン・ビエンナーレを構想するとすれば、過去の形式をどのように換骨奪胎し、意義深いものにできるだろうか? 単に議論を提起するにとどまらず、実際に制作を推し進めていく。
物事の本質がデザインのありようを決定するのではない。デザインされた事物によって、いつか、本質や現実が逆に変形・加工され、あるいは捏造されて「そのようなもの」として振る舞いはじめる。そのときのために、本展は企画される。
−power/point
power/point
展覧会という形式からグラフィックデザインのありようを検討する集団。竹久直樹、中村陽道、八木幣二郎の三名によって構成される。
竹久直樹 | Naoki Takehisa
写真家。1995年生まれ、2019年よりセミトランスペアレント・デザイン所属。
「撮影」が英語圏では“Shooting”(射撃)と訳されることを起点に、様々な事物の記録方法を探求している。また国内数多くの美術館やギャラリー、オルタナティブスペース等において展覧会の記録撮影を継続的に担う。
主な展覧会に、個展「ホームスチール」(The 5th Floor、東京、2023)、「スーサイドシート」(デカメロン、東京、2022)、グループ展「逆襲」(SNOW Contemporary、東京、2023)、「惑星ザムザ」(東京、2022)。 主な展覧会企画に「power/point」(アキバタマビ21、東京、2022)、「ディスディスプレイ」(CALM & PUNK GALLERY、東京、2021)などがある。
中村陽道 | Harumichi Nakamura
グラフィックデザイナー。都立工芸高校、多摩美術大学大学院修了。
主な企画展に「power/point」(アキバタマビ21、東京、2022)など。
Instagram:@speedykaisok02
八木幣二郎 | Heijiro Yagi
グラフィックデザイナー。1999年、東京都生まれ。
グラフィックデザインを軸にデザインが本来持っていたはずのグラフィカルな要素を未来から発掘している。 ポスター、ビジュアルなどのグラフィックデザインをはじめ、CDやブックデザインなども手がけている。
主な展覧会に、個展「NOHIN: The Innovative Printing Company 新しい印刷技術で超色域社会を支えるノーヒンです」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー、東京、2024)、「誤植」(The 5th Floor、東京、2022)、「Dynamesh」(T-House New Balance、東京、2022)、グループ展「power/point」(アキバタマビ21、東京、2022)がある。
Instagram:@heijiroyagi