PAST EXHIBITION

只野彩佳 個展 「路望の草、かなたへの導き」

開催日時

日時 : 2025年10月3日(金)– 10月26日(日) 13:00 ~ 19:00
開廊時間外はアポイントメント制にてオープン可
水曜日 ~ 土曜日、最終日曜日開廊

オープニングレセプション 
日時 : 2025年10月3日 (金) 17:00 -20:00

会場:CALM & PUNK GALLERY 〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-15

このたびCALM & PUNK GALLERYでは、只野彩佳 個展「路望の草、かなたへの導き」を開催いたします。只野は和紙や岩絵具、膠など日本画の伝統的な画材を用い、豊かな色彩感覚でおおらかで静かな多幸感を感じさせる作品を生み出しています。その作品の中にある幸福な空間は、無条件の生の悦びでは無く、祈りの体験にも似た豊かな鑑賞体験をもたらしてくれます。東日本大震災の被災の経験を背景に「美しい瞬間」を描き出すその表現は、現実の風景と心象の多層の重なりを示唆します。

 只野は2023年にGASBON METABOLISMで開催された雲ノ平山荘アーティスト・イン・レジデンス・プログラムの成果展「Diffusion of Nature2023土と夢」に参加いたしました。雲ノ平という自然環境での滞在制作を通じて、光・湿度・空気の変化や景観の距離感を五感で捉えた体験は、只野が絵画空間を創り出す上で色彩や構成に加えて独自の新たな次元を意識する経験となりました。

 本展では、大型作品に加え新作6点を発表いたします。タイトル「路望の草、かなたへの導き」は、「路傍」と「希望」を組み合わせた造語であり、ふと出会う景色の中に潜む希望を見出し、それを未来への導きとして提示するものです。これまでの宮城・滋賀での活動を経て、さらに海外へと視野を広げていく只野にとって、本展はその歩みを示す重要な位置づけとなります。
会期中には、開幕レセプションや小田原のどか氏を招いたトークイベント、対話型鑑賞プログラムなども開催いたします。ぜひこの機会にご高覧ください。

ステートメント

 和紙に、岩絵具、銀箔、膠などを用いて絵画を制作しています。人々の暮らしも自然も変わらないものはない中で、この世界の輝きと痕跡を拾いながら新たな風景を描こうとしています。私の作品に影響する自然や景色に対する価値観は、故郷での震災経験が始まりです。途方もない世界の中でも、美しい景色の瞬間がありました。それを美しいと思うことは明日や未来への希望でした。私の描く景色の色は、世界がきらめいて見えた時の空気や、積み重なる時間を表しています。この世界の美しい形や景色を知りながら、私は自分や誰かにとっての居場所になるような風景を描き記したいと考えています。
本展覧会のタイトル「路望の草、かなたへの導き」は、みちばたを意味する「路傍」と「希望」を掛け合わせた「路望」という造語を使っています。ふと出会う景色の中にある希望と、自分を押し返す足元の大地の硬くて柔らかい感覚、目線を遠くに歩んだ先でまた新たな希望と出会うこと。
――その時間を、絵画を通して分かち合えたら嬉しいです。 ー只野彩佳

只野彩佳 Ayaka Tadano

1992年生まれ。武蔵野美術大学造形学部日本画学科卒業、東京藝術大学大学院美術研究科 芸術学専攻美術教育修士課程修了。2023年雪梁舎美術館の支援を受けフィレンツェに滞在、Accademia di Belle Arti di Firenze留学(3月-6月)。 和紙に膠や岩絵具など、日本画の描画材で絵画を制作。景色の持つ空気の湿度、光、自分の感覚を込めて、現実と心象を混ぜた風景を描きます。個展やワークショップなど精力的に活動。 近年の個展に、只野彩佳個展「北へ進む」(2025ビルドスペース、宮城県塩竈市)、N.E.blood21 vol.85只野彩佳展(2024リアス・アーク美術館、宮城県気仙沼市)、只野彩佳×膳所焼「うつくしのほとり」(2023膳所焼窯元陽炎園、滋賀県大津市)、只野彩佳個展(2022フレデリックハリスギャラリー・東京アメリカンクラブ、東京都港区)。受賞歴に、FACE2022読売新聞社賞、第23回雪梁舎フィレンツェ賞展フィレンツェ大賞、2017年東京藝術大学安宅賞など。

@ayakatadano_works

小田原のどか氏×只野彩佳トークイベント

日時:10月4日(土)19:00〜20:00
会場:CALM & PUNK GALLERY 〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-15
参加費:無料(予約不要)

ゲスト:
小田原のどか
1985年宮城県生。彫刻家、評論家。芸術学博士。彫刻を起点に、ジェンダー、帝国主義、公共性の観点から、理論と実践の両輪で美術史を再検討している。主な個展に、国際芸術センター青森、つなぎ美術館など。主な著作に『近代を彫刻/超克する』(講談社、2021)、『モニュメント原論』(2023、青土社)、『この国(近代日本)の芸術:〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』(山本浩貴との共編、月曜社、2023)など。版元「書肆九十九」主宰、表現の現場調査団メンバー、アーティスツ・ユニオンオブザーバー、横浜国立大学専任講師。

対話型鑑賞イベント 

ファシリテーター:あーとりうむ 伊東由貴子
日時:10月11日(土)14:00〜15:30
会場:CALM & PUNK GALLERY 〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-15
定員:10名
参加費:無料(要予約)お申し込みはお電話、もしくは下記フォームより
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あーとりうむ 伊東由貴子
一人の鑑賞からシェアする鑑賞へ
アートの新しい鑑賞方法「対話による鑑賞〜びじゅトーク」を取り入れ、ギャラリーや美術館でのアートイベント、美術スクールでの講座などを開催しています。
2023年 非営利団体「あーとりうむ」アートイベントの企画・運営メンバー
現在 国立近代美術館 所蔵品ガイドスタッフ