PAST EXHIBITION

AUTO MOAI solo exhibition ʻ Buoy ʼ

会期

2020.11.13(金)〜11.29(日)

※ 日、月、火 休廊
※ 最終日曜日のみ開廊

開場時間

13:00 – 19:00

CALM & PUNK GALLERYでは、11月13日(金)よりオートモアイの個展 ʻ Buoy ʼを開催いたします。

過去3年、精力的な作品発表を行ってきたオートモアイの新作ペインティングを含む作品群は、作家の新たなステージを提示する展示となります。

オートモアイは、匿名性と、人と人との関係性をテーマとして2015年から作品を描き続けてきました。オートモアイの作品は一人の人間が成長するプロセスの中で感じうる様々な感情を、一瞬の情景として再現し、作中の少女 (正しくはヒトようなもの) への感情の移入を促すようです。ただ、感情移入を促しておきながら、その作中の少女は、鑑賞者なのか、既存の物語の主人公のステレオタイプなのか、または別の個性なのかを不確かにさせてしまいます。
鑑賞者の立ち位置に揺らぎを与え見失わせてしまうことで、作品の時間、空間の構成をより深いものにしています。

会場では、新たな挑戦として約150cmのスカルプチャー、またドローイング、オイルペインティングなどさまざまな媒体で発表いたします。

本展のテーマ ʻ Buoy ʼ・浮(ブイ)について
浮は流れに身をまかす様子と、繋ぎ止められていることを同時に象徴し、また、類型の浮はそれぞれの設置されたポジションに意味を持ち、役目を果たすことを使命付けられているとオートモアイは語ります。是非、オートモアイの絵画空間をお楽しみください。

AUTO MOAI・オートモアイ
匿名をテーマに日本で活躍するアーティスト。可視化されにくくあるストリートで暗黙に繋がる人と人との関係性を顔のないヒトによって描き出している。主な活動は個展 ʻ Permanent Boredom ʻ (TAV GALLERY, 東京,2019)など、ʻ Tacking City Nihonbashi ʻ (東京,2019)では8mの立体作品を展示、ほか300ページに及ぶドローイング集 ʻ Endless Beginning ʻ (焚書舎,2018)、渋谷PARCOリニューアルオープンを記念した描き下ろし作品集 ʻ ANGEL ʻ (PARCO出版2019)を出版。

instagram:auto_moai
twitter:auto_moai

オートモアイは、これまでにSupremeをはじめ、NEW ERA、MOUSSY など様々なファッションブランドに作品を提供し、また2020年12月にリリースされる 加山雄三の13年ぶりのオリジナルアルバムから先行配信のシングルへの作品提供、8月には台湾のMangasickで個展を開催、台湾月刊カルチャーマガジン・The Affairs にて作品が取り上げられるなど国内外で活躍の場を広げてきました。 11月にはB GALLERY ( BEAMS JAPAN ) にて個展 ʻ Anonymous ʼ も同時開催します。

GALLERY STATEMENT

ʻ Buoy ʼ
汽水域のブイ
たゆまなくなみにもまれつづける こと

河川は、海に注ぐ。その淡水と海水が交わる領域を汽水域という。
汽水域は様々な生態を育み、穏やかな情景を想起させる。
オートモアイは汽水域にブイを見る。繋がれて、流されず、漂い、交わらないブイを。

オートモアイの作品空間の中を漂ってみると、
とっつきやすい記号が浮標(ブイ)の様に視座を与えてくれる、、、、はずだったのだが。
穏やかだったはずの汽水域の波が、どんどん時化(しけ)て、ブイは波間に見え隠れするようになる。
何らかにしがみついてでも見ようとする気持ちが揺さぶられ、三半規管が正常ではないように感じはじめる。
船酔い、安易に近寄ったことに軽い戸惑いを覚える。

汽水域の浮標(ブイ)は人間にとっての視標である、航路の危険や、網の位置を知らせる。
その下の海流や、岩礁、漁網、生息する生き物の様子は見えてこない。 

少女(ヒトのようなもの)が飲み込んだ多くの感情は、簡単には見えてこないものなのだと悟る。
(何故か既視感のある、見覚えのある)情景と情景の持つ意味性は、
飲み込まれた多くの感情のごく一部露呈したものだと、

シンディ・シャーマンの作品では、鑑賞者は、
設定された状況をより強く再提示されることにより事象の不確かさを想起させられる。
オートモアイの作品にはそれと通づる、不確かさへの導線がある様に思う。
オートモアイの作品の情景を構成する要素や、状況設定は、ブイ同様、たゆまなくなみにもまれつづける。

汽水域のブイとしたのは、オートモアイの立ち位置が、
相剋するいくつかの要素の合流点だと思ったことはご理解いただけるかと思う。

CALM & PUNK GALLERY
西野慎二郎