PAST EXHIBITION
PAST EXHIBITION
2020.12.04(金)〜12.20(日)
※ 日、月、火 休廊
※ 最終日曜日のみ開廊
13:00 – 19:00
CALM & PUNK GALLERYでは、12月4日(金)より成田輝の個展
ʻ Reproduction ‘を開催いたします。
成田輝は、2017年にANAGRAで個展を開催後、国内外で精力的に作品発表を行なってきました。本展は、1年半ぶりに日本で開催する個展となります。
これまで成田が発表してきた作品の題材は、大量生産のその先でゴミと化したオモチャ。すでに人の手から離れてしまったフィギュアやその一部をスケールアップした彫刻作品は、ただ単に郷愁を感じさせるだけではなく、消費文化に生きる私たちにどこか妙な違和感を感じさせていました。
本展では、今までと同じくポップでキャッチーなアニメーションや玩具を想起させるモチーフを扱いながらも、人の垢から感じられる気配は一切消えさり、新たな不気味さをまとった作品群たちが並びます。アニメーションの一コマを切り取ったようなツルツルとした鏡面仕上げの作品群を介して、映される賑やかな景色と私たちの姿には、現代社会に漂う不穏さが浮かびあがります。
会場では、最長150cmから最小手のひらサイズまでの新作 立体作品が並ぶほか、ドローイング作品も発表いたします。
ステイトメント
フラットなイメージから側面と背面を想像するとき、輪郭をきっかけに見えない部分を創造するが、空間を押し広げて存在させようとしたならば、水枕のような形態が思い浮かんだ。時間、空間と視覚をもとに、イメージを再生産するためには、彫刻を二次元化する必要があり、モチーフにアニメを選んだ。
ー 成田輝
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成田の新作群を眺めた時、過去 数年間に彼が創り出した作品たちとは印象の根本が変わっていた。
以前と変わらず、元来 ポップでキャッチーなアニメーションや玩具を思わせるモチーフを扱っているが
過去の作品群が持っていたと感じる、それらがゾンビであることに端を発する不機嫌な感覚がなくなっていた。
2015年頃から、成田作品の主な題材は棄てられたり壊れたりしたオモチャだった。
成田は高度な彫刻技術を持つネクロマンサーのようだった。
死体のようなフィギアや その一部を スケールアップして彫刻作品に昇華させていた。
「決してもう本物ではない、既に架空の物になってしまったが。アートはとても優しい嘘をつく。」
これは、2018年に成田が個展「HOLLOW」を半蔵門ANAGRAで開催した際のギャラリーからのステートメントの一部。
言い得ている。それは優しい嘘と共に成り立っていた、それは 棄てられた物たちへの愛情に由来するか、
消費文化への嫌悪感や その全てだったかもしれない。
それでは、本展で展示される作品群はなんのなのか?
それはもうゾンビではない、2次元の世界から3次元の世界に召喚され、成田独自の目線と手腕でサイボーグ化した何かであるように思う。
色彩と質感はソリッドに変貌し、鏡面仕上げの作品群は手仕事というよりも工業化された何かを思わせ
それはより間口の広い魅力 – 更なるポップネスを獲得した、かのようにも見える。
が、しかし。
動作部分が複数に見える、いかにもアニメーション的な表現を彫刻化した犬。動く頭は3つになり、その形状は地獄の番犬であるケルベロス。
窓の外は荒野のようだ、スマートフォンの向こう側も荒野のようだし、サメが泳ぐ危険海域かもしれない。
小鳥は鋭い牙を持つ外敵がいることに気づいているのだろうか? 救いである花々にも、どこか不気味さを感じてしまった。
成田は、ゾンビ造りからサイボーグ造りに移行した。
消費(資本)主義の隙間からする 死の匂い だけでなく
その主義/手段によって管理される現代社会全体を覆う不穏さや綻び全体を捉え始めたような感覚。
そんなことツルツルと愛らしい彼らから読み解こうとしてしまうのは
今とても自然なことのように思う。
安部 憲行
CALM&PUNK GALLERY
成田輝 | Hikaru Narita
1989年青森生まれ。2013 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。2015年武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻彫刻コース卒業。
主な個展
2019
『huggy in piggyback』ACME FURNITURE (tokyo)
『smell』TS4312 (tokyo)
2018
『Memory and Record』Gallery Geoje (korea)
『HOLLOW』ANAGRA (tokyo)
2017
『ゴーストタウン』 TS4312 (tokyo)
『SPACE SHIP』island japan (tokyo)
『DIG UP』 ANAGRA (tokyo)