UPCOMING EXHIBITION

成定 由香沙個展
「Over My Head・あたまの上で」

開催日時

2025年2月21日(金)〜3月16日(日)
13:00-19:00
水曜日 ~ 土曜日、最終日曜日
入場無料 / 上記時間外アポイントメント制にてオープン可

 CALM & PUNK GALLERYでは、2025年2月21日(金)から3月16日(日)まで、アーティスト・建築家である成定 由香沙の個展「Over My Head・あたまの上で」を開催いたします。 
 タイトルである「Over My Head」は「頭上を超えてゆく」と「混乱のなかにある」といったダブルミーニングを持つ言葉です。建築模型と写真から構成される本展は、「頭上を超えてゆくもの」である「空」と「混乱のなかにあるもの」である「放射能」を巡る思索が、実現以前の建築であるアンビルト建築というアプローチをもって展開されます。大きすぎるがゆえに触知ができない吃緊の社会問題や集団的なトラウマに対して、いかにして、建てられていない/すべてを視認することができないものを通して、我々が想像できるのかを試みます。
 成定は、CALM & PUNK GALLERYの運営会社であるガスアズインターフェイス株式会社がキュレーションを手がけた共同企画展「傷 創 築 / kizu」(2024、アートかビーフンか白厨)にも参加しており、本展は成定の作品と活動をより発展的に紹介するものとなっています。
 また会期中には、​​彫刻家・評論家の小田原のどか氏を招いたトークイベントの開催も予定しております。ぜひこの機会に、CALM & PUNK GALLERYでご高覧ください。

成定 由香沙 個展「Over My Head・あたまの上で」
日時 : 2025.2.21 (Fri) — 3.16 (Sun) 13:00 ~ 19:00
場所 : CALM & PUNK GALLERY 〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-15
協賛:クマ財団
展示コンサルティング: 佐藤熊弥

トークイベント
登壇者(敬称略):成定 由香沙、小田原のどか
日時 : 2025. 3.16 (Sun) 18:00 ~ 19:00
場所 : CALM & PUNK GALLERY 〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-15
*詳細については、後日ギャラリーのInstagramや公式HPにてお知らせいたします。

頭上を超えてゆくもの/混乱のなかで

頭上を超えてゆくもの(=Over my head)、たとえば「空」は巨大な空気の塊を視認できる最小の単位であり、どれほどに「大きすぎるもの」であるかを私たちは知っています。アンドレ・ブルトンが戦時中に書いた神話「透明な巨人(The Great Transparent)」は我々の視認できないものによって大きな力が働いているということ、それによって我々が動かされているということが語られており、現代の環境哲学において言及される「ハイパーオブジェクト(Hyper Object)」との関連性が見られます。本展覧会「Over My Head」は、そんな我々の周りにある我々の手には負えないもの、ここではすなわち「放射能」について私たち人間が100年以上にも及ぶ混乱のなかにある(=Over my head)ことをテーマとし、時代が病む時、ブルトンが想像した「巨人」が私たちの生きる空気を共に震わせているということを背景に、建築と写真という視点から表現します。

本展覧会は1つの部屋に2つのパートから構成されています。1つ目は、「核と都市」。第二次世界大戦中マンハッタン計画において開発された核施設群「ハンフォード・サイト」に残る原子炉について、塵の拡散による放射能汚染を防ぐために原子炉に鋼板を被せる廃炉作業によって、広大な平地であるハンフォードに生まれた新たな輪郭を引用し、その中に新しい建築を想像するプロジェクトです。2つ目は「核と私」。ハンフォード・サイトのプロジェクトを構想する際、東日本大震災で放射能被害にあった福島県がハンフォード・サイトを理想的な復興都市として掲げていることを知り何度かリサーチに出向きました。2つ目のパートは実際に福島第一原発および帰還困難区域へ行った際に撮った写真と、普段日常で「あたまの上」を撮り溜めていた写真を組み合わせ構成されています。(成定 由香沙)

*ハイパーオブジェクト:ブラックホールや放射能など、我々にとって大きすぎるが故に我々の手には負えない物質の事

成定 由香沙
1998年生まれ。2024年東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻修了。
廃炉になった原子炉とその背景となる核のコロニアリズムを題材とした『行方不明者の家 (Radioactive Ghost House)』(2024)や、失われゆく歴史に対する記念的空間を構想する『香港逆移植』(2021)など、建築・映像・写真を主な領域として思考・表現する。主な展覧会に京都芸術センター Co-program 2023 採択企画として「Ground Zero」(2023/ 京都)、「できない(かもしれない)わたし」(2022/ 京都・東京)などがある。

成定 由香沙 HP : https://www.yukasanarisada.com/