PAST EXHIBITION
PAST EXHIBITION
2022年9月25日(土) 〜 10月10日 (日)
※ 水曜日〜土曜日、最終日曜日開廊
13:00 – 19:00
株式会社マル・ビ
http://www.yosey.co.jp/
*ご来場の際は、マスク着用、検温、消毒にご協力お願いします。
*会場の混雑状況により入場制限を設ける場合があります。列にお並びいただく場合があること、予めご了承ください。
*状況に応じて、会期・営業時間の変更する可能性があります。変更の際は、ギャラリーウェブサイトとInstagramにてお知らせ致します。
CALM & PUNK GALLERY では、3 年半前に開催された「not colored yet」以来、河野未彩による 2 回目の個展 「←左右→」を開催致します。
2018 年の「not colored yet」では、光の三原色の原理を利用し色づいた影をつくる照明装置「RGB_Light」を発表。その後、特許取得から製品化までを実現。個展と同年に京都で巡回展を開催したのち、2019 年にラフォーレ ミュージアム原宿で大型展覧会「PHENOMENON : RGB」に参加、2021 年夏にはアートプロジェクト「PROJECT ATAMI」に選出され、熱海での滞在制作に取り組むなど精力的に作品発表を行なってきました。
彼女の活躍は、展示にとどまることなく、BOREDOMS / SHOCK CITY や加山雄三など 全く毛色の異なるレジェン ドたちへのアートワーク提供や MV ディレクション、ラフォーレ原宿の広告ビジュアル制作、PUMA × SLY や Lululemon などアパレルブランドとのコラボレーションなど、多彩なポートフォリオに描かれています。 また、あらゆるジャンル −グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、映像、ビジュアルアート− を横断する 姿勢は、アートディレクターとしての領域を越えた頃から、「視覚ディレクター」という肩書きを名乗り活動していることにもあらわれています。
本展では、これまで目にした景色に内包される「現象」を作品を通して捉えようとします。描かれる自然の木々や山々、海に広がる水平線、それらの空間にひかり輝く色彩は、今回全長 3.6Mのレンチキュラー作品によって表現されます。視覚の移動に合わせて変化する色彩は、まるで不変的に広がる自然界の「現象」であるとと同時に 会場にいる人間それぞれの視覚を通した内面までは共有できないことをうつし出します。
鑑賞するたびに変化したように感じる景色、実はそれらは静かに佇んでいて自身の視覚や内面によって変わるものなのかもしれない。感染症対策にご協力いただきながら、ぜひ何度でも視える「現象」を体感しにきてください。
河野未彩
視覚ディレクター/グラフィックアーティスト
2006年多摩美術大学プロダクトデザイン専攻卒業。音楽や美術に漂う宇宙観に強く惹かれ、2000 年代半ばから創作活動を始める。グラフィックデザイン/映像/プロダクト/空間演出など数多くの色彩快楽的な作品を手がける。ラフォーレミュージアムや浅間国際フォトフェスティバルをはじめ国内外での展覧会多数。2019年に作品集「GASBOOK 34 MIDORI KAWANO」を GAS AS INTERFACE より刊行。影が彩る照明「RGB_Light」を開発、Panasonic関連企業から製品化まで実現。
http://md-k.net/
https://www.instagram.com/midori_kawano/
アーティストステイトメント
明け方、光の気配が空と海を二分した。
刻一刻と変わっていく色、左右に広がる水平線。
水平線はいつも「私」が真ん中に存在しているかのように世界をみせる。
この普遍の線に意識を置いた。
明←→暗
古←→新
柔←→硬
静←→動
いろんな座標軸を右往左往して誰もがいつも宇宙の唯一の点にいる。
どの点からも違ってみえる、その美しい現象を共有してみたい。
ー 河野未彩
河野未彩 個展によせて
河野未彩は、その作家活動に於いて一貫して「現象」にインスピレーションを受けて、創作を続けてきた。今回の展覧会を構成する新作群は、レンチキュラーを用いており、視点の移動に合わせて色彩が変化していく。彼女にとって、色彩とは光と網膜の相性による「現象」なのである。
グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、映像、そしてビジュアルアート。
彼女はフィールドを越境する作り手で、ブレることのない軸足は同じポイントにあるが、それぞれの分野についての思考をする時に、東西南北を見渡すように視点が移動をする。そして、デジタルメディア、具 体的に言うと Adobe製品のコントロールに多くの時間を費やしている。ディスプレイに表示される色彩を指先で操りながら複数のパターンを検討する時、それはグラデーションを起こしながら変化していく。 新作群のアイデアは、独特だが、ごく自然に発生したことが分かる。
大型作品では、左から右に、または右から左に伸びた、連続する消失点が作り出す水平線が描かれている。それは、この展覧会の直前に滞在制作のために過ごした熱海で目にしたものだと言う。そして木々や、山々 が描かれているが、作品の主題はそれではないのである。空間に充満している、光と、それが引き起こす 変化する色彩を内包する「現象」そのものを彼女は捉えようとしている。
そして、それを目撃する網膜、を通して景色を受容するそれぞれの人格は絶対にそれを共有することは出来ない。人の視覚は、どこまでいっても孤独なのである。しかし、あの水平線や、この満ち溢れる光や、それが引き起こす「現象」は共有が可能なものである。人と人が距離をおくことを要求され、誰かと同じ景色を見ることが難しくなってしまったが、それでも、この「現象」はいつでも共有していると、彼女の作品が教えてくれる。
ー 安部憲行 / CALM & PUNK GALLERY